2009年の春ごろから、ある方の別荘のインテリアデザインをさせていただきました。
「インテリア」と一言で言っても、一体どこからどこまでがインテリアなのか……壁紙、カーテン、家具のデザイン、床の模様、絵画や装飾品、食器やお箸一本まで、すべてを私と母の自由にデザイン、アレンジをさせていただいたので、とても思い入れのある場所になりました。
今回の建築工程では、ほとんどが設計図ナシ、すべて現場で形をデザインできるという素晴らしく理想的な家造りでした。
信じられますか? たとえばゲートからエントランスまでの小道、室内の天井の形、壁や床の仕上げ、部屋の間取りですら、
現場でポロッと言ったアイディアがそのまま反映されて形になっていくのです。
「この壁が、もうちょっとこっちだといいのになあ」と言えば壁の位置が変わり、「廊下の天井は丸くしよう。
あっちは教会みたいに階段状になったら素敵ですよね」と言えば、次の週にはそれがそのまま具現化されている……。
まるで、お絵描き(落書き?)がそのまま家になるような楽しさを味わうことができました。
こんなに楽しい具現化を経験することができたのは、建築家の山川幹夫先生(山川設計 http://www.yamakawa-design.co.jp/)のおかげでした。
たとえば道を作る時は、棒で地面に線を引きました。
途中で思いついたデザインは壁に直接描きました。
置きたい家具がある→家具に合わせて壁の位置を決めたい!
天井は「こ~んな感じに!」
ベニヤ板でイメージした暖炉が・・・。
「モノ作り」にはよくあることだと思いますが、「やってみたらちょっとイメージが違った」ということってあると思います。
また、「眺めていたら急に新しいアイディアを思いついた!変更したい!」というようなことも。
そんなとき、「もう取り替えられないから、まあ、これでもいいかな……」と妥協すると、その気持ちはずっと後まで残ります。
完成品への評価は人によって好みが違うのでいろいろだと思いますが、少なくとも造っている人たちが心残りなく、 「良いものができた!」としみじみ感じられるものにするべき……まして個人の住宅などは、施主の夢や希望を思う存分盛り込んで、 造る過程からみんなが楽しむものであるべきだと思います。だって、その空間に何年も住むのですから、「こういうこと、やってみたかったのよね」ということは全部実現させたいですよね。
私の「こういう部屋、つくってみたかった」のひとつに、「フランス風のはげた水色の部屋」と、
「オフホワイト(これもいい感じではげている)の部屋」がありました。
ゲストルームの壁にドア材を貼っていただき、その壁を「はげた水色」にするべく、職人さんに何回も塗装を繰り返してもらったのですが、
これが結構難しい……。フランスの店舗などでよく使われている、あの「はげた色合い」ってどうやってニュアンスを出すのかしら……。
理想に近づけるために一度塗ったものをやすりではがしてもらい、ようやく出来上がりました。
シルク独特の光沢のある水色に、ゴールドベージュのボーダーが入っているカーテン(これは半年以上前から決めていたもの)、それと同じ生地でベッドのヘッドボードをつくってもらい、クッションをたっぷり置いて、部屋のまわりグルリと一周には、カーテンと同じ生地を20センチほどの帯状にしてまわしてもらいました。ゲストルームには丸天井のロフトをつくったのですが、あそこの壁紙も左右につけたライトもアンティークでうまくいったな。
水色の部屋の壁
ロフトに上がる梯子
本当は、内装の写真こそお見せしたいのですが、
施主のプライベートな空間なのでNGです。
マスターベッドルームの家具も廊下のペンダントライトも、アンティークショップでずいぶん悩んで購入したものばかり。 クッションの生地も、キャビネットの中のティーカップやトリオのセットも(アンティーク)も、時間をかけて集めました。 母なんて、キャビネットの正面に、絵まで描いてしまいました。
キャビネットの正面に桜の絵を・・・。
エントランス正面のステンドグラスも、私と母でデザインをしました。
はじめに絵を描いて・・・・
さあ、ガラス選び
実は母の貢献度が大きかった!
制作をお願いしたのは、(株)大竹ステンドグラスの皆様。明治中頃創業の日本のステンドグラス界の老舗です。
(http://www.ohtake-stained.com/index.html)
以前からお店の前を通りかかるたびに「わぁ、ここはステンドグラスのお店なんだぁ……」
と思いながらも中をのぞかせていただく勇気がなかったのですが、今回の仕事でステンドグラスを入れようと母と決めたときから、
「ぜひあのお店にお願いしたいね!!」と話していたのです。私の母校である青山学院のチャペルのステンドグラスを手がけてくださっていたことを知り、
共通の知り合いの先生の話などで盛り上がり、制作を引き受けてくださることになりました。
大竹社長はじめ、工房で製作をしてくださった森田様も、みなさま素晴らしく素敵な方々で、本当に気持ち良く仕事をすることができました。
私たち(特に母)が、何度も通ってとことん時間をかけて色を選ぶ(さぞ、うるさいお客だったのではないでしょうか?笑)を、ジッと見守ってくださり、
決して私たちの好みに反対することなく、でも「ここぞ」というときに最高のアドバイスを添えてくださる・・・本当に素晴らしかったです。
たくさん色がありすぎて、迷っちゃう・・・・。
ガラスの小片で選んだものが、大きな絵にはめ込むとずいぶんイメージが違うので、何回もやり直し。
やっと完成!現地でのとりつけ開始
うれしい・・・・^^
完成♪
みなさまにも大評判でした。すごくうれしい。長かったな。
でも終わってみるとあっという間。本当に楽しい家造りでした。
なんでも自由にさせてくださった施主の方、建築家の山川先生、事務所の方々、
そして現場で私たちの要望に迅速にこたえてくださった建築会社の方々、職人の皆様、本当にありがとうございました。
いつか、私も自分の家を造ろうっと。
それまでに、またやりたいことをためておこうと思います。