国内線なのに、ホテルの人に言われて二時間前に着いた。
わたしがボディーチェックのブザーを鳴らしてしまったので、三人まとめて脇へどけられて待たされる。裸足のまま、目の前を通過していく人たちを見ていた。
ヘラヘラしたわたしたちは厳重なボディーチェックをされ、足の裏と指の間まで調べられた。カバンの中も隅々まで開けられる。「変なもの入ってたらどうしよう、絶対見られたくないものとか」と話す。
でもまあ無事に済み、搭乗までの時間もつぶせてよかった、と思うことにしよう。
ホノルルに着き、今度はわたしの荷物が出てこない。
1時間以上経って、わたしたちの便の次の次の次くらいに乗って来た。
「ありがとう、出てきた」と係りの人に言ったら、「気にしないで、あなたのせいじゃないわよ」なんて言われる。
まあ、ここでもホテルにチェックインするまで時間がたくさんあったからちょうどよかった、と思うことにする。
「時間のかかることが起こる」とどこかで事前に知っていたから早めに空港に来たのか・・・・・・、
もし時間どおりに来ていたら、こういうことも起こらなかったかも・・・・・・と思った。
どちらにしても、うまくできているなと思う。
また、なにがあるかわからないから早めに行こうなんて準備していると、本当になにかあるな、とも思う。





「恋人向けだよね」
「バスタブとシャワー室が別だから家族でもいいかも」
「シンクもふたつあるし、女同士でも朝が混まなくていいね」
「じゃあ、誰とでもいいってことじゃん」
とか話す。


ロビーのソファに座っているときにシャラシャラ音がするなと思ったら、シャンデリアについているガラスだった。




左半分は雨が降っている。右にいたわたしたちはタオルをかぶって備える。大粒で痛いほどだった。
女三人、なにをするでもなく横になり、東京でも済むようなどうでもいい話で盛り上がった・・・・・・そうでもないか、深い話もたくさんあったんだ。
人生のこと、仕事のこと、恋愛や人間のことなど。
それぞれにいろいろあるけど、全体的に見て悪くないし、こんな風にその瞬間瞬間で「いい」と思うことをそれぞれがしていけばいい。それで、たまにこうやって集まって、お互いの考えを確かめ合ったりしたい。
あとは本を読む。わたしの薦めた「ダヴィンチ・コード」を日本から持ってきた友人だが、「これはビーチで読むもんじゃない」と、わたしの「毎日ふと思う(3)」に切り替えていた。
わたしは夏目漱石なんて持って来ちゃったのでますます場違い、数ページしか進まず。





   
顔のコースにしたかったけど予約がいっぱいだそうなので、ロミロミマッサージにしてみる。
ひとりひとりに贅沢なコテージが用意されていた。
入った右側の空間には大きなベッド、天井のファンが気持ちいい風を送ってくる。ハワイアンキルトがかけられたベッドの上には、南国の匂いのする小花がつまった籠があり、うつぶせに寝る枕の下にも花がもられていた。
左の空間には、フットケア用のゆったりした椅子とグッズがそろっている。奥のパウダールームにはタオルやガウン、アロマテラピーのセットやバスグッズが山盛りになっていた。

おおざっぱなハワイアンには珍しくきめが細かく、サービスも最高だった。
スタッフの人たちもいい匂い、穏やかな笑みを浮かべて近づいてくる。
マッサージも最高に気持ちがいい。
「ふあ〜、南国にいるみたい、あ、いるんだった」とか思いながら、また寝てしまった。
暖めたストーンを使うときだけ、ビクッと起きる。途中で「もう少し力を弱めにしてください」と言ったら、
本当に少し弱めの力になった。
そんな最高に素敵な空間で「ナイス」な気分だったのに、なんと、付属の設備を使う時間がほとんどなかった。
マッサージが終わるとそのままシャワー室に案内され、外で終わるのを待っている気配がするので、
早々に洋服を着て、バスグッズをちょっとさわってドアを開ける。 
レモンハーブの不思議な味のお茶が用意されていた。これ、すごく気に入った。
「好きな人は好きだけど、嫌いな人は嫌いっていうような味ですね」
「まさにそうなんです」と話しながら、幸せな時間が終わった。


南国で幸せを感じる瞬間のひとつは、この朝ごはんだと思う。
山盛りの生クリームやフルーツやたまご料理、絶対全部食べられないってわかっているんだけど、たっぷり出てくるのって、人を幸せにする。

そして、10月に結婚するひとりへ向けて、ハワイからのお祝いメッセージをビデオに撮った。
ひとりが某テレビ局のアナウンサーなので、ハワイからの緊急ニュースという設定だ。
ふたりの出逢いから結婚までの話を、ドキュメンタリー風に読んでくれた。
「うまいもんだねえ」
「あのさ・・・・・・わたしこれが仕事なんですけど・・・・・・」
「そっか、これがほんとの姿だよね」
「いや、ハワイでのわたしが本当かも」
なんて話しながら、楽しく撮り終える。
友達との旅行でこんなに笑ったのははじめてだったかも。三人のバランスがちょうどよかった。
今回のわたしの役どころは、勢いよくつっこみをするお笑いキャラ、盛り上げる役だったかもしれない。
毎日、腹筋が痙攣するほど笑った。
ひとりが笑い出すと、つられて次が笑い、料理が運ばれてきただけで吹き出すってな感じ。
帰りのタクシーの中も、いったい誰に聞かせているのか三人の漫才トークは続き、降りるときにドライバーの
おじいさんに「会話、しっかり聞かせてもらいました、面白かったです」と言われた。
日本語はわからないと思っていたので驚いた。

この女三人旅、またやりたい。一年に一回くらいのペースで。次は目的をもってどこかに行こう。




日本に帰って数日後、友人はハワイのこのおそろいリング(vol1に写真あり)をつけてニュースを読んでくれた。
アロハの手(親指と小指をたてる)をして髪の毛をかきあげる、というのもやってもらったけど、さりげなさすぎてわからなかった。そりゃあ、無理だよね・・・・・・。