11月5日(金)
今は、ヴェネツィアへの列車の中です。
思っていたような時間のずれなどなく、
時間になると静かに動きだすところは日本の新幹線と同じ。
ヴェネツィアに近づくと、遠くの水に町が浮かんでいるのが見えた。なんか不思議……。
日本から手配したアシスタントの方が、列車のまん前まで迎えに来てくれた。
なかなかハンサムな男性。日本語、上手。荷物がたくさんあるので、ときどき立ち止まって休んでいる。
水上タクシーに乗った。 この気持ちよさは最高♪ 乗った直後からバシャバシャ写真を 撮っていたら、 「まだ、もっといい景色がやってくるから」 と教えてくれる。 |
ホテルの真横にある小さな船着き場に着いた。
「Luna Hotel Balligioni」。
「ベニス」を感じさせる、ヨーロッパ的重厚さのただようホテル。
客室までの廊下は、船の中のようだった。部屋のなかもとてもいい。
電気はすべてヴェネチアングラスのシャンデリア。
ウェルカムフルーツの代わりにある、こがわいいケーキをつまむ。
ほおずきにチョコがかかっているのがおいしい |
部屋の鍵も船っぽい |
ひと休みしてから、予約していたゴンドラに乗りに行った。
地図のとおりに小さい路地をクネクネと進み、パッと角を曲がったら突然、水路にゴンドラがたくさん並ぶ場所に出た。
どこを撮っても絵になるなあ……私たちが乗った船の船頭さんは、なかなか絵になる男性だった。
マ「さっきね、すべての船の中でこの船頭さんが一番いいと思ったから、この人に当たらないかなあと思ってたの、
そしたら本当にこの船頭さんにあたったわ。」
帆「え、それはすごいね。たしかに……この船頭さんだけ、段違いに格好いいよね」
ユニフォームの縞々マリンルックがぴったり。そして、水の仕事なのにスエードの靴をはいている……
こういうところがおしゃれなんだよね。
ときどき電話しちゃったり |
「僕、プレステ得意」とか言ってる |
水路側から入れるブティックもたくさん。
11月6日(土)
朝ごはん、ビュッフェのスモークサーモンがものすごくおいしい。肉厚で、油がたっぷり。
私は2回、ママさんは3回、お替りに行った。
レストランの入り口にサイン帳があったので、サインをしてきた。ダイジョーブタも一緒。
午前中、ムラーノ島へ行く。
ベニスは、水上の風景が本当に絵になるところだ。
幻想的、ノスタルジック、もの哀しさ……雰囲気が印象に残る町。
ヴェネチアングラスの職人の島「ムラーノ島」。
かなり観光客向けの値段がつけられていることもあるけれど、
そういう中から自分好みの「一品」を探すのこそ、面白い。
シャンデリアも、小さくて素敵なものがたっくさんある……どうしよう……ほしい。
広間に飾るような「ザ・シャンデリヤ」ではなく、こがわいい小さいサイズのものもほしい。
玄関ホールの上とか、お手洗いとか、気楽なところにかけるのがいいよね。
友人カップルが、「家を建てるときに、全部ベニスで買って送った」と言っていたけど、
その気持ち、よくわかる。
本島に戻り、きのう見つけたサンマルコ広場にあるお店で、
シャンパングラスやワイングラス、デザートグラスなどを買う。
日本に着くのが楽しみ
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お買い物したなかで 一番気に入っている。 帆帆子なだけに、 ヨットものには目がない^^ 形は決まっていて、 ガラスの色や組み合わせなど、 自由にオーダーできる これ、ムラーノ島では ベニス本島の倍の値段で 売られていた(汗) |
休憩……サンマルコ広場にある「世界で一番古いカフェ」に入る。
ここは、1720年創業、300年近く前に、ヨーロッパではこんなカフェがすでにあったのねえ。
観光客が多く、私たちが座った席もまわりは外国人の旅行者ばかり。
みんな天井や壁の内装などを見回しながら、いろんな国の言葉で話している。
そこへ、ひとりの日本人青年がモソッと入ってきた。今のシーズンは日本人がほとんどいないので思わず眺めて
いたら、座ってからおもむろに地図と懐中時計とガイドブックを取り出し、ボロボロのノートに顔を近づけて
なにかを書きつけている。その動作や風貌や、取り出してくる物まですべてが昔の時代の雰囲気で……
なんというかものすごく変わっていて、目を引いた。ときどき天井を仰いで目をつむり、ひらめいたことをノートに
書きつけたりしている。そーっとまわりの外国人たちをみまわしてみると、みんな彼を観察していた。
11月7日(日)
きのう、寝る前にイタリア語の勉強をした。
電子辞書で調べてみると、「いくらですか?」は「クエント・コスタ?」。
「これください」は「プレンド・クエスト」。
「すっごく素敵」にあたる言葉は「ケ・ベーロ」。
「OK」にあたるのは「バ・ベーネ」。
なかなか覚えられない。「プレスト、コント?」とか「クエンタ・コスト」とか、言葉が似ているから混ざっちゃう。
特に「クエスト」が出てこない……そうだ、「ドラゴン・クエスト」って覚えよう。
さて今日は、いろいろと観光。
サンマルコ広場に行ったら、きのうまで道だったところが水に浸っていた(驚)。目の前のマンホールから、水がゴボゴボ
と噴き出し、水深がだんだんと増している……これは……いつか必ず沈むね。ヴェネツィアが沈むって話、聞いてはいた
けど、本当だ。なんか、すごく寂しい気持ちになる。この街は……この人たちは、一体どこへ?
ドゥカーレ宮殿とサンマルコ大聖堂を見た。
サンマルコ大聖堂のミュージアムを見ている途中に、ミサが始まった。オルガンと聖歌隊の声がドーム型の天井を
かけめぐっている。この響き、すごく懐かしい。
午後は、地図を片手に街を歩く。リアルト橋を渡り、サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ教会と、
サン・ロッコ信徒会の絵画を見るために、たっぷりと歩いた。
大広間にある、56枚の宗教絵画が素晴らしかった。天井に飾られているものは、鏡に写してそれをのぞいて見る。
昔の宗教絵画にはよくあることだけど、ここでも残酷な絵が多い。たとえば、イエスが生まれたとき、ヘロデ王が
男の幼児を一人残らず殺した、あの話の絵とか……。
それにしても、ヴェネチアって、「歩く町」だな。
小さな路地が迷路のように入り組んでいて、どこを撮っても「イタリアらしい」という風景が写る。
通りの壁についている看板や、人の歩く方向になんとなく歩いていけば、目的地に着けるので迷うこともない。
このレンガの壁と アイアンの門と 陶器の表札と 緑の組み合わせが好き |
途中の画廊で、ヴェネチアの風景の絵を買った。小さな版画。
きのう覚えたイタリア語の「これ、ください(プレンド・クエスト)」を使ってみた。はじめなかなか思い出せなくて、
なんだったっけ……と考えこんでいたら、
「ドラゴンクエストに関係なかった?」
とママさんが言いだし、「プレンド・クエスト」を思い出す。ママさん、グッジョブ!
ヴェネチィアは……情緒ある町だった。
でも、いつも水に浸されているところというのは、定住するには、ちょっと落ち着かないだろうな(笑)。
この水害のなかで建物を維持するにはお金がかかるから、空き家がどんどん増えているらしい。
でも、一度は行っておきたいところだったので、今回来ることができてよかった。
2010年11月