8月末、岩手県陸前高田市での復興イベントに参加してきました。
今回のキャッチフレーズ、「きてけらっせあ」というのは、現地の言葉で「いらっしゃいませ」という意味だそう。
地元の方々に、お店を開く楽しさをもう一度味わってほしい、未来に向けて希望を持ち続けてほしい、
という思いで開かれたイベントです。
会場となった小学校の校庭には、80店舗近くのお店が並び、いったいどこにこんなにたくさんの人が!?と思えるほど、
たくさんの人でにぎわっていました。地域のB級グルメで優勝したお店、かつて地元に並んでいたお店、
神戸牛の大盤振る舞いなど、市の方々の楽しそうな様子が印象的でした。
私たちは、日ごろから支援しているNPO法人SAJ(School Aid Japan)のお手伝いで参加させていただいたのですが、
現地で貢献できることは、たくさんお買い物をすること……というわけで、私もモリモリ食べましたぁ。
2日間で、 |
中央の舞台では、様々なイベントが!
陸前高田市立米崎小学校の重倉太鼓。24時間テレビでも流れていましたよね。
小柳ルミ子さんや川嶋あいさんのライブ、盆踊り大会、地元吹奏楽部の演奏などもありました。
一番興味深かったのは、陸前高田市の戸羽市長や、参与の渡邉美樹さん(ワタミ会長)、
地元の環境業や経営者の方々による、パネルディスカッションでした。
Kさんの「この町を、予算に関係なく一からデザインするとしたら……」という話が具体的で面白かったです。
たとえば、今の平地を2階建て構造にして、天井部分にソーラーパネルをはりめぐらして発電するなど……、
実際にそれができるかどうかはともかく、聞いていて夢がもてました。
デイスカッションの後、友人たちと盛り上がりました。
A「もともと特産品や目玉商品の少ない場所だから、なにかの産物を突然全国区にすることは難しいよね。」
B「それより、いろんなエネルギーが循環する未来都市にすれば、「新しい都市(町)計画」という興味から
世界の人は集まると思わない? 物産で人を呼ぶのではなく、都市計画の成功例として呼ぶ。」
C「新しくつくる住宅は、これまでと同じものを復元するんじゃなくて、本当の意味でセンス良く新しく考えることだよね。
たとえば、ドイツのモダニズム集合住宅みたいな感じ」
D「わかる~。デザインっていうと、すぐに奇をてらったものになったり、突拍子もない奇抜なものになりがちだけど、
その場所に違和感なくなじんで、でも本当に洗練されたものが必要だよね。有名な建築家でもいいけど、
日本の若手デザイナーを採用するとか、それ自体が注目されるような町のデザイン。」
B「でもさあ、どんなに素敵なものが出てきても、それを採用する側が、頭ガチガチでセンスのない役人っていうことが
多いからさ。そこに限界があるんだよね」
一同 「そうなんだよね~(全員、ため息)」
A「それから、もともと津波の来る恐れのあるところに住居をつくるのを避けること。」
D「そうそう、平地部分(今、津波でなにも残っていない部分)は、さっきのソーラーパネルの案でもいいし、
ビッグサイト的な展示場でもいいし、大規模農場でもいいし、とにかく大きく使う。」
A「その一部には津波の被害や瓦礫をそのまま残した場所をつくってね。公園だとかモニュメントにするんじゃなくて、
瓦礫の山や建物を原爆ドームのようにそのまま残したほうがいいよね。公園にしちゃうと、思いは薄れていくもん」
C「これだけはじめから作れる状態になるなんて、珍しいことなんだから、まったく新しいことができるよね。
今回のイベントで「面白そうなことをすれば人は集まる」ということはわかったから、新しい循環未来都市の成功例
として、世界の人が注目するような観光都市にすればいい。。」
というようなことを、友人たちと話しました。
こういう意見はあくまで部外者の勝手な意見です。でも、ちょっと現地に行くだけで、いろいろなことが頭をよぎります。
少なくとも、考えていて「それ、やりたいな」という気ちになるイメージをもつこと。
ワクワクした気持ちになることが、なにかを始める原動力ですよね。イメージできることしか実現しないと思います。
体育館では、ひとノミご参加仏像」が安置されていました。
「1万人の、ひとノミひと削りで、再び輝きを」というテーマで、みんなが大仏様のひと削りに参加します。
残りは京都伝統工芸大学校の生徒さんが完成させてくださり、清水寺塔頭・真福寺「大日堂」に安置されます。
私もひとノミ、 彫らせていただきました。 かなり楽しい、 もっと彫りたかった(笑) |
ひと削りの木くずを、お守り袋に入れてくれました。
小学校の3階から。
賑やかな校庭の向こうには、 海までなにもさえぎる建物のない景色。 ここから見える海がこんなに近いなんて、 と市の職員の方が話していました。 |
台座から落ちた二宮尊徳の石像……。 |
カリカチュアのKageさんがいらしていたので、似顔絵を描いていただきました。
(カリカチュアという言葉は、イタリア語のカリカーレ(=誇張する)という言葉が語源です。
モチーフとなる人物を単に似せて描くのではなく、
内面に潜む個性までも深く理解し、ユーモアたっぷりに表現していきます。
地震で写真をなくした人たち、寄り添って描いてもらうご夫婦や親子の姿でテントはあふれていました。
絵の腕前はもちろんですが、 |
完成~♪ ウヒヒ^O^
夕闇が降りる頃、市民の方々のつくった灯篭で、「夢明かり」の舞台ができました。
よく見ると、とても凝っています。 |
最後の花火。
それぞれ、なにを思いながら眺めたのでしょうか。
7月に引き続き、今回も現地の図書館や市民の方々に本を寄贈させていただきました。
自分にできることを淡々と続けていくしかない、と今回も思いました。
瓦礫が片づけられたこれからが、いよいよ本当の出発だと思います。
アーティストのKageさんも、絵の力でできることを実行するために、この後石巻市に向かったそうです。
皆さんも、今の自分の人生に幸せを感じ、その輪をまわりの人にどんどん分けてください。
ご協力いただいた出版社の皆様、本当にありがとうございました。
2011年9月