先日のJ-WAVEの記事では私の失敗談を披露しましたが、
別所さんとのお話から考えていたことを書いておきますね。
放送中に出てきた「自分らしくいるために必要なこととは?」という質問に対して、私は「いつも自分の
本音でいる(生きる)こと」と話しました。
これまでの私の本でも何度か書いてきましたが、プライベートでも仕事でも、なにかを選ぶとき、どちらに
しようか迷うときに、いつも自分の本音で「良い!」と思うほうを選んでいく、というものです。この「良いと思う
こと」という基準は、「良いか悪いか」の善悪ではなくて、あなたが感じる「こっちが好き、こっちのほうが居心地
がいい、無理がない」という感覚のことです。どちらにもそれほど心を惹かれない状態なのに、どちらかを選択
しなくてはいけないときは、「こっちのほうが嫌じゃない、こっちのほうが心のモヤモヤが少ない」という消去法でも
構いません。
よく、独特のキャラクターの人や、「あの人は個性的で素晴らしい」と、その個性が魅力として評価されて
いるような人がいますが、そういう人たちも、特別ななにかを演じているわけではなくて、その人の本音のとおり
に選んできた結果だと思います。
どんな人にも、他の人と違う反応の仕方や感じ方があるものです。自分が自然にした選択に対して、
「面白い感覚ですね」とか「珍しい選択ですね」と言われることがあるのは、相手の感覚とは違うだけ、または、
世間の感覚、それが「普通である」と思いこんでいる選択と違うから、「面白い感覚」と思われるだけで、
その人にとっては違和感のない「普通」なわけです。
その人が、選択の瞬間瞬間に自分の本音で選んでいけば、自然とその人の個性が出て、オリジナルカラー
ができていくのは当然のことですよね。
ファッションやジュエリーの世界で「ブランド」と呼ばれるものも、その企業やグループの人たちが「私たちは
こういうものが好き」という本音の選択を繰り返した結果に過ぎません。奇をてらったものを作ろうとか、
世の中に印象付けるものを、と無理に思っているわけではなく、長い間の本音の繰り返しが、結果的に「ブランド」
と呼ばれるものになったのだと思います。
同じように、組織のなかで自分をアピールしたり、まわりの人に自分を覚えてもらうために、自分ではない
キャラクターをつくる必要はなくて、実は自分の本音でいることが、一番その人のブランド力になるのです。
自分の本音はいつも自分と共にあるものなので、その選択の基準がなくなってしまうこともありません。
さらに、いつも自分の本音で選んでいると、やって来ること自体が変わってくる……自分の本音とかけ離れている
ものは少なくなっていきます。だから結果的に、自分らしくいることが、流れをうまくいかせるコツ、ということにも
気付くのではないでしょうか。
自分らしくいることに努力はいらない、つまり、うまくいく流れに乗るためにも努力は必要ないんだなあ、と
思います。今週の共同通信「NewSmart」のコラムにも、これと似たようなことを書かせていただきました。
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2012年6月